
2026/01/22 3:11
**10年間エンジニアリングマネージャーとして学んだこと** - **人を最優先に、プロジェクトはその次に** • チームの成功は信頼・共感・明確なコミュニケーションにかかっています。 • 定期的な1対1とオープンフィードバックループで関係性を強化します。 - **明確なゴール、柔軟な道筋** • OKR/KPIなど測定可能な目標を設定しつつ、チームに最適な手段を選ばせます。 • 実験を奨励しながらも成果物は常に意識します。 - **効果的な委譲が鍵** • スコープとアウトカムの両方を担当させ、エンジニアに権限を与えます。 • マイクロマネジメントを避け、リソース提供と障害除去に注力します。 - **継続的学習を優先** • コードレビュー・ペアプログラミング・テックトークを日常化し、文化として根付かせます。 • 認定資格取得やカンファレンス参加、個人プロジェクトの時間もサポートします。 - **データ駆動型意思決定** • リードタイム・デプロイ頻度・MTTRなどの指標で問題を早期発見。 • 定量的洞察と定性的フィードバックをバランスよく組み合わせます。 - **メンタリングは重要** • ジュニアエンジニアを積極的にコーチし、成長がチーム全体のパフォーマンス向上につながります。 • メンタープレーヤーやシャドウイングプログラムでスキル転移を促進します。 - **透明性あるコミュニケーション** • ステークホルダーへ進捗・リスク・トレードオフを随時共有。 • 成功と失敗を率直に話し、信頼感を醸成します。 - **適応力が生存戦略** • 技術・プロセス・市場ニーズの変化を受け入れます。 • 定期的にアーキテクチャ判断を見直し、必要ならリファクタリングします。 - **ワークライフバランスは贅沢ではない** • 実現可能な速度と納期の期待値を設定。 • 休憩・メンタルヘルスデー・適切な残業文化を奨励します。 - **勝利を祝う—大きくても小さくても** • 個々の貢献とチーム全体の成果を認めます。 • お祝いはチームカルチャーとモチベーション強化に活用します。
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要約▶
Japanese Translation:
Summary
この記事は、エンジニアリングマネージメントに単一の定義が存在しないと主張しており、その理由として企業間で役割が大きく異なることを挙げています。著者自身のキャリア―4社を転々とした経験、スタートアップへの参画、そして最終的にはマネージャーオブマネージャーズ(管理職)に就いた過程―は、この多様性を示す好例です。彼はマネージャーの業務を形成する4つの柱として、プロダクト所有権、プロセス監督、人材リーダーシップ、そしてハンズオンコーディングを挙げています。
経験から、無駄な製品の開発、過度なプロセス化、ミクロマネジメント、才能を希薄にする採用慣行などの一般的な落とし穴に警鐘を鳴らしています。彼は信頼・透明性・正直なコミュニケーションの必要性を強調し、マネージャーは困難なニュースを明確に伝え、チームが意思決定できるよう権限を委譲するべきだと述べています。
著者は、**定性的洞察(協働・問題解決)**が量的指標と同等にマネージャーのパフォーマンス評価で重要であることを指摘しています。
実践的なフレームワークとして、時間の約10 %をプログラミングに、30 %をコーチングに、60 %をチームの応援に充てると提案し、ペットプロジェクトを削減し、プロセスを合理化し、高いインパクトを持つ採用に集中するよう勧めています。著者は読者に自身の学びを共有してもらうことで、この指導が進化し続けると示唆しています。
チームがこれらの原則を採用すれば、コミュニケーションの明確化、人材保持率の向上、意思決定速度の加速、およびユーザーに真に価値を提供する製品の実現が期待できると結論付けています。これは個々の企業だけでなく、より広いエンジニアリング業界全体にも恩恵をもたらすでしょう。
本文
長い間、上司に「チームの採用を始めるべきだ」と言われていた。そこからオンボーディングも担当することになった。ロードマップを把握していたので、その責任を担えると考えたし、人材を知っているのでキャリア面でコーチできると思った。
当時は気づかなかったが、彼は私をエンジニアリング・マネージャーに転向させていたのだ。
それ以降、4社でマネージャーとして働き、1社では創業者、別の会社ではマネージャーのマネージャーという立場を経験した。エンジニアリング・マネジメントに関する標準的なアドバイスやレッスンは省略し、あまり明示されていないポイントに焦点を当てる。
1. 役割は文脈依存
「エンジニアリング・マネージャー」という定義は存在しない。ランダムに2人のマネージャーを選んでも、同じ会社であっても全く違う業務になることがある。私が働いたすべての企業で、役割は常に変わってきた。唯一の不変点は「チームのニーズによって定義される」ことであり、4つの柱をバランスさせる必要がある。
| 柱 | 意味 |
|---|---|
| プロダクト | 製品を所有し、機能を検証・優先順位付け、顧客と対話する。 |
| プロセス | 信頼できるワークフローを構築・維持し、時間を浪費する儀式を排除する。 |
| 人材 | コーチングやメンタリングで士気を高め、キャリア成長を管理する。 |
| プログラミング | 小規模チームではコードを書く必要がある。一方、大規模チームでは調整に集中する。 |
- 大規模チーム:コーディングは不要。キャリア構築、協力関係の調整、リソース確保を重視。
- 小規模チーム:スコープ管理を実際のリソースに合わせる。必要ならコードを書くこともある。
- PM不在:プロダクト全体を担当し、機能検証・ロードマップ優先順位付け・顧客対話を行う。時間の大半はこれに費やされる。
- CEOへの報告:営業・運営・クライアントコミュニケーションの橋渡し役になる。
重要なのは、ソフトウェア開発サイクル上でチームが抱えるボトルネックを特定することである。状況に応じて柱を切り替えていく―これが柔軟性の要件だ。
Tip: 面接官に「マネージャーに何を期待しているか」を尋ねるより、日々の業務と主な課題について質問したほうがよい。マネージャーは自分の経験が業界標準だと思っている場合が多く、その質問を奇妙に感じることもある。
2. プロダクトファーストのマインドセット
「この機能、誰が使うんだ?」と疑問に思ったことがある。チーム全員が答えを知らず、指示通りに作業していたため士気は低下した。
企業が失敗する最も一般的な理由は、ユーザーに価値を提供しない製品を作ることであり、その結果支払いを受けられない。PMだけでは不十分で、チーム全員がプロダクトに関心を持つ必要がある。コードはエンドユーザーに利益をもたらすときのみ価値がある。時にはノーコードの統合がカスタムソリューションより優れていることもあるし、新機能を作る前に「作らない」選択肢も有効だ。
3. プロセス:ツールであってマスターではない
プロセスは、信頼性や品質のために時間と注意を犠牲にするもの。問題は、チームがそのトレードオフがまだ価値あるかどうかを疑問視しなくなる時に起こる。儀式化され、メトリクスがゴールになり、何のために会議を1時間も費やすのか忘れられる。
プロセス肥大はゆっくりと進行する。UIが壊れたまま本番にデプロイされた際にデザイナーが不満を抱き、マネージャーがパニックになる。すると「PRごとにデザイナーの承認」が必要になり、一件の事故でチーム全体が犠牲になる。
良いプロセスは顧客にサービスするために存在するものだ。しかし警戒心を失うと、プロセス自体が主役になる。アウトカムを見る代わりに「正しくプロセスを行っているか」だけに注目してしまう。常に問い続けるべき質問は、「私たちはプロセスを所有しているのか、それともプロセスに所有されているのか?」(Jeff Bezos, 2016年株主への手紙)
適切なプロセスは、チームサイズ・経験レベル・締め切り圧力など文脈によって異なる。成熟したチームで機能するものが新規チームでは通用しないこともある。疑問を持ち続け、改善していくことが重要だ。
4. 人材ファースト
直属の部下はあなたと最も頻繁に接触する人たちであり、リーダーシップと明確さを求めている。彼らが信頼できる情報を得られないと、不可逆的なダメージが生じる。すぐには辞めないかもしれないが、恨みは残る。
“Trust arrives on foot and leaves by horseback.” – オランダの古いことわざ
良いマネージャーは透明性のある傘に例えるといい。チームを不必要なストレスやプレッシャーから守りつつ、現実を隠さない。ユーザーが満足していない点、リスク、次のステップを正直に伝える。
ハードニュースを提供する際は明確に述べ、チームがどう対処すべきかに焦点を当てる。怖がっている姿勢だと、彼らも恐れる。目的は「次に何をすべきか」を考えさせることだ。
5. エグゼクティブコミュニケーション
マネージャーが経営会議で「AかBか不明」と言い、帰ってからZの指示を出してしまうケースをよく見かける。経営陣は詳細にわたる全ての可能性を考える時間がないため、決定はあなたとプロダクトオーナー(場合によってはあなた自身)に委ねられる。
問題がエグゼクティブレベルへ上がるのは、意思決定が必要だからだ。上層部は特定の課題に集中できる時間が限られているので、情報を詰め込みすぎてはいけない。誤った行動を取ってしまうと、その責任はあなたに帰る。
信念があるなら、利点・欠点を明確に提示する。上層部が自分で考えてくれるとは期待しない。直接のマネージャーとアイデアを洗い直すことは許容されるが、それ以上は自身とチームで精査するべきだ。
構成例:
- コンテキスト → 2. 問題点 → 3. プラン/代替案 → 4. 必要なサポート
6. タイムアロケーションの内訳
| ロール | 時間割合 | フォーカス |
|---|---|---|
| プレイヤー (10%) | コードを書く、CI/CD改善、フラッキーなテスト修正、プロセスツール化。重要経路から離れた作業に限定し、チームをブロックしない。 | |
| コーチ (30%) | 有害行動の防止、フィードバック提供、適切な挑戦、キャリア成長支援。 | |
| チェアレッダー (60%) | 本当に価値ある称賛を見せる。チーム外での成果も祝福し、影響力を広げるよう促す。 |
注意: 称賛は意味深いものにするべき。そうでないとインパクトが薄れる。
7. ボトルネックにならないために
多くのマネージャーはボトルネックになることを計画していないが、徐々に起こる。重要なツールに所有者が必要で、「今は自分でやろう」と思う。別チームから問い合わせが来たら「あなたが担当だ」というのが楽だから自然と技術的決定も自分に落ちてくる。
1か月休みを取ってもスムーズに戻れるようにするため、タスクを委譲しよう。誰かに直接指示するか、グループチャットで自然な議論を促すことで、自律性を高める。情報共有は求めつつ、技術的決定は任せる。
8. 信頼 vs マイクロマネジメント
マイクロマネジャーは信頼がないために過剰監視する。自分のチーム全員を常に見ている必要があるか?もしそうでなければ、何かを変えるべきだ―自分自身か、メンバーか。
信頼は技術スキルだけではなく、正直さも含む。レベルに応じた成長支援や、正直さが疑われる場合は別の道を探すことも検討する。
9. パフォーマンス測定
スプリントやOKRなどのプロセスは「検証」フェーズに焦点を当て、作業が完了したかどうかを確認する。定量的(PRマージ数、ポイント完了)と質的(コミュニケーション品質、先手で問題解決)が共存する。定量データだけでは管理者の真価は測れない。
10. プロジェクト所有権
ペットプロジェクトを抱えることはスタッフエンジニアの領域だ。マネージャーにとっては「全てのプロジェクトが牛」と考え、完了・自動化・委譲・キャンセルを行うべきだ。快適さやアイデンティティで手放せない場合は持続可能ではない。「もっと早く自分で終わらせる」思考は短期的には効率的に見えるが、学習機会を奪い永遠の所有者になる。
リスク回避志向であれ、過度な恐怖は逆効果。予測できない変数は必ず存在する。過剰に修正すると問題が悪化する可能性もある。
11. 採用
採用は最も頻繁に失敗を見る分野だ。悪い人材を採用した後、マネージャーは紹介制に走ることが多いが、誰でも推薦者を探せばよい。面接官が増えると責任感が薄れ、エラーを他の人に押し付けやすくなる。3回の質の高いインタビューは7回の平均的なものよりも効果的だ。さらに、サブオーダー効果(良い候補者がスケジューリング中に離れる)も考慮する。
もしこの内容に共感したら、私の無料オンライン作業進行本で更に掘り下げている章があります。マネージャーとして経験を積んだ方は、ぜひコメントで共有してください!