
2026/08/16 16:12
携帯型・高感度・低消費電力のアナログガイガーカウンター (2025)
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要約▶
Japanese Translation:
独学愛好家が、長距離中国製 J306β 真空管を用いて、極めて低い放射線レベルを検出するための高感度で携帯可能なアナログ式ガイガー計数器を製作した。該装置は単一の AA バッテリーで動作し、1.5V から昇圧コンバーターおよびダイオードベースのフィードバックを使用したパルス周波数変調型フライバックコンバーターによって生成された 5V および約 400V の制御電圧を供給する。この最適化により、電流消費は大幅に削減され(約 1.1mA)、理論的に 2000 時間を超える動作が可能となった。計測装置は平均時間を切り替えることで針の安定化を図り、2 つの測定範囲(低感度:1µSv/h、高感度:10µSv/h)を実現している。CMOS IC がスピーカーを駆動してクリック音を発生させると同時に、HC Minipa アナログメータが並列抵抗による範囲切替機能を用いて読み値を表示する。ガイガー計数器は容量最小化のために設計された青塗装の PVC パイプハウジングに装着されており、著者は「放射線検出器には警告色が必須」という規範に対して象徴的に挑戦するため、黄色ではなく青色を選択した。テストでは硝酸カリウム肥料付近でポタシウム−40 による読み値上昇が確認され、メーカー仕様に基づきフルスケールをシミュレーションする手法を採用し、絶対較正は省略された。
本文
高感度・低消費電力アナログ携帯型ゲイガー計数器の製作記
はじめに
著者として生涯を電子技術に捧げ、14 歳からガイガー・ミュラー計数管に関わるようになり、チェルノブイリ事故の際に初の自作を行うなど、数十年にわたりこの分野を楽しんでまいりました。 今回の記事では、極めて感度が高く反応も速く、シンプルかつ電力効率の良いアナログ携帯型ゲイガー計数器を製作しました。
ガイガー計数管の選定と設計思想
サイズによる特性の違い
- 大きな管: 受容面積が大きい分、背景放射線レベルでも毎分多くのカウント(C/Min)を得られます。測定値の意味のあるものとするために必要な平均化時間が短くなります。
- 小さな管: 背景レベルではカウント数が少なくなるため、数分の平均化が必要です。しかし、高い放射線レベルでは過大計測を防ぐために優れています。大きな管だとカウントレートの上限(飽和)に達し、線形性が失われるためです。
なぜ「大きな管」を選んだか
- 著者の関心は非常に低い放射線レベル(背景レベルや弱い放射線源)にあります。
- その測定に適しているのは、中国製のガラス製 J306β 計数管です。
- 寸法:長さ約 20cm、直径約 18mm
- 性能:平均的背景放射線で毎分 88 カウント、1μSv/h で毎秒 8カウント
アナログ回路 vs デジタルカウンター
- マイクロコントローラー(デジタル): 長時間のカウント統合が可能で精度が高いが、アナログメータの方がスキャン時の直観性が高い。
- アナログ回路: スキャンに優れ、針の動きを直接読み取れる。
- 結論: 大きな J306β 管を使用するため、単なるアナログローパスフィルタで十分な平均化が容易です(小さな管では難しい)。よって「低レベル放射線の測定にはデジタルが必要」という一般的な法則とは逆に、低レベルでもアナログ回路を使用可能と判断しました。
電力消費の最適化:9V から AA バッテリーへ
回路開発初期は 9V バッテリー使用でしたが、友人に「0.5mA の方が良くないか」と指摘され、さらなる削減を試みました。
- 9V バッテリーで 0.21mA に低下した際、「そもそも 9V は割高かつ入手困難ではないか」と疑問を感じました。
- AA ボタン電池(1.5V)に変更することで、電力効率が劇的に向上しました。
- 単一 AA で動作時の消費電流:1.1mA
- 理論動作時間:2000 時間以上
- 電圧低下に対し、コンバーターは 0.8V まで動作維持します。
システム構成の変更
- 5V 生成: 市販の昇圧コンバーター(AliExpress 約 1 ドル)を使用しつつ、内部回路を開示し部品だけで複製可能にしました。
- 400V 生成: 独自設計のパルス周波数変調式フライバックコンバータを採用。
- IC1(CMOS シミットトリガー)と MOSFET を用い、自動変圧器で高電圧を発生させます。
- フィードバック回路: 共通スイッチングダイオードを逆接続し、約 7V で動作する「擬似的なゼナーダイオード」として利用し、1μA の微小電流で電圧安定化を実現しています。
- 電圧値: ゲイガー管のプラトー(360-440V)を考慮し、402Vという余裕のある設定に達しました。
回路設計の「常識外れ」とその理由
1. 電流制限モードでの CMOS ゲート使用
- 通常: IC 製造元の電流制限値は厳密でないため不確実な要因。
- 著者の判断: パルス幅調整範囲が広いこと、かつ極限環境(南極や炉内)で使用せず、簡易的な装置であるため、理論的完璧さは要求しません。
2. 低速信号からの駆動用 CMOS ゲートを並列接続
- 通常: 閾値のわずかな差でクロストークが生じる可能性があります。
- 著者の判断: 出力が電流制限モードにあるため、短時間の内部ショートは許容範囲内です。追加ダイオードによる改善は見られず、コスト削減のため省略しました。
IC の選び方:CD40106BE / SCL4584BE など
- 推奨: 旧型の金属ゲート CMOS シミットトリガー IC。電流制限特性が良く、この回路に適しています。
- 避けるべき: 74HC14 や 74AC14 などの現代ロジックファミリ(電流制限が高すぎて自己破壊のリスクあり、消費電流も大きすぎる)。
メータとレンジ切り替え
- 韓国製 HC Minipa モデル MU38 の内部抵抗(約 4450Ω)に合わせて、時間定数を設定しています。
- レンジ切り替えは、メータ並列に抵抗を追加する方式(高レンジは低レンジの 10 倍)。
PCB 設計と製作プロセス
システム構成
- PCB: 独自設計・製作。通孔部品のみ採用。
- 市販モジュール: 小型昇圧コンバーターは SMD だが、基板では通孔のように実装。
- 外付け部品: スピーカー、メータ、スイッチ、ゲイガー管本体は PCB に直接取り付けず、ボックス内で配線・固定。
製作上のポイント
- 基板形状: ボックス内部のレールに適合するように設計(現在は水平搭載)。
- 変圧器: 自作クランプ固定。元のフィードバックを除去し、より太い線で巻き直し効率化。
- コンデンサ: 電解コンデンサは廃棄 DVD プレイヤーからのリユース品使用。C2(高容量)は粗いものでも可だが、C3・C5 は安定した値が必要。
組み立てとマウント
ボックス内配線
- スピーカー: 32Ω(比較的高インピーダンス)选用。CMOS ゲートからの直接駆動で音量増大を実現。
- ゲイガー管支持: PVC 管内にプラスチックフォームクッションで支持。
- 管の陽極端をボックス側に向け、リード線短縮と長寿命化を図る。
- 外周負極接続で stray capacitance を低減。
- 接触部: コーヒー缶の錫付き鋼板を使用して自作。
スケーリングと校定
- メータスケールの再作成:50μA から μSv/h に変更(James L. Tonne の "Meter" プログラム使用)。
- 絶対校定は困難なため、メーカー仕様に準拠し、IC ピンへsquare wave を注入して R6 で設定。
- 現時点では相対的測定(「熱い」岩石の検出など)に利用しています。
実測結果と発見
「肥料」による高い放射線量
著者の所有地や周辺で高い读数を示したのは、放射性物質を含む岩石ではなく、保管していた肥料でした。
- 原因: 袋に入った硝酸カリウム(約 10kg)。
- 含有するカリウム 40 は、天然ウランの数倍の放射性を持ちます。
- ベータ粒子(PVC 管で一部遮断)とガンマ線が検出されます。
- この物質は他の岩石よりも強烈な放射線を発生させました。
外観塗装について
友人より「黄色い方が危険を示す」と提案されましたが、著者は以下の理由から青いままにしました。
- ガイガー計数器自体は放射線を出さない(受けるだけ)。
- 「放射線を出している物体」の反対色である青色が適当だと判断。
これで、高感度かつ低消費電力なアナログゲイガー計数器の製作は完了しました!