
2026/01/09 6:17
リチャード・D・ジェームズ(通称Aphex Twin)がタツヤ・タカハシと語る
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要約▶
Japanese Translation:
Summary
リチャード・D・ジェームズ(Aphex Twin)と元Korgエンジニアの高橋達也氏とのインタビューは、ジェームズが精密なマイクロチューニングを徹底した結果、KorgのMonologueシンセサイザー―パラメータ全体で完全に編集可能な唯一の商用販売シンセ―の開発へと至った経緯を語ります。
ジェームズは、ヤマハDX100から始まるチューニング実験について語り、標準440 Hzピッチからの偏差を探求しました。その後、Monologue、MS‑20キット、Poly‑61M、Volcaシリーズ、Minilogue、およびアウトボードプロセッサ(Skibbe mic pre、BAC compressor、RTZ PEQ1549)などのKorg機材を用いて「Korg Funk 5」を制作しました。
高橋氏はMonologueが彼にとって最後の直接的なKorgプロジェクトであったことを説明し、Chroma上のファームウェア改造によって完全なマイクロチューニング編集を可能にした過程を語ります。また、ランダムスケールジェネレーターやキー・トリガーシーケンスといった機能は開発時に検討されたものの、最終的には省かれたことも指摘します。議論では、Scalaを用いたチューニングロード方法、複雑なチューニングを標準ソフトウェアで表現する際の課題、およびモノフォニックとポリフォニック楽器双方におけるマイクロチューニングの重要性についても触れられます。
両者は創作プロセスに関する逸話を共有します。ジェームズはVolca FMで速度ベースのモーションシーケンスを使用し、タカハシ氏はMonologueを通じてDX7パッチを編集する実験を行いました。また、タカハシ氏はオムニディレクショナルスピーカーを天井に吊り下げた非凡なスタジオ構成や、幾何学/多面体への興味がデザイン美学に影響した点についても語ります。
将来のKorgコンセプトとして、ランダムスケールジェネレーター、キー・トリガーシーケンス、および「タイムマシン」やライフログ機器といった投機的アイデアが示唆されています。この対話は、アーティスト主導の機能要望が製品開発にどのように影響を与えるかを示し、シンセサイザー業界内で継続的な実験を奨励しています。
本文
Wayback Machine – インタビュー:リチャード・D・ジェームズ(Aphex Twin)と高橋 達也
1. 概要
- 出典: https://web.archive.org/web/20180719052026/http://item.warp.net/interview/aphex-twin-speaks-to-tatsuya-takahashi/
- インタビュー日付: 2017年6月10日
- 参加者:
- リチャード・D・ジェームズ(Aphex Twin) – Korg エンジニア、マイクロチューニングの先駆者。
- 高橋 達也 – Korg の顧問であり、Yadastar GmbH にて技術プロジェクトを担当。
2. 主なテーマ
| テーマ | ハイライト |
|---|---|
| マイクロチューニングとモノローグ | • モノローグは完全なマイクロチューニング編集が可能な唯一のシンセ。 • チューニングの決定はヤマハ DX100 での初期実験に由来。 • ジェームズの主張によって Korg 製品へ組み込まれた。 |
| 440 Hz の歴史的背景 | • 1939 年に導入され、現在も国際規格。 • ジェームズは厳密な遵守を疑問視し、フィリップス社の研究室と自然変動を例示。 • 432 Hz と 440 Hz の議論について言及。 |
| 技術仕様・設計哲学 | • サンプルレート(48 kHz vs 31.25 kHz)の検討。 • 「SLOP」ノブでピッチドリフトを調整し、安定性と音楽性のバランスを取る。 • Korg の設計理念:機能は最小限に留め、創造性を解放すること。 |
| ハードウェア・ソフトウェアのワークフロー | • Korg モノローグ、MS‑20 キット、Poly‑61M、Volca keys/beat/sample、Minilogue などとカスタムチューニングツールを使用。 • マイクロチューニング表用に Scala を利用し、直感的でないチューニングの課題について言及。 |
| クリエイティブプロセスとインスピレーション | • ジェームズは自身の即興演奏から学ぶ姿勢を語る。 • 高橋氏はテレスコイル実験、サイマトリクス、ポリヘドロン、レーザー+煙による可視化アイデアなどを影響源として共有。 |
| 将来の展望と製品開発 | • コーナーケースを削減しない限定版 Korg シンセの可能性。 • 音楽活動の「ライフログ」を記録するデバイスの探索。 • 既存製品のアップデート vs 再設計について議論。 |
3. 注目すべき引用
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リチャード・D・ジェームズ
「あなたと一緒に作業できて本当に楽しかった…モノローグは見た目がとても可愛く、小さく、非常に機能的です。」
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高橋 達也
「もしこれを行わなければ、速度感覚のあるシンセを設計上適していないものに強制することは大きな過ちになるでしょう。」
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両者共通
「マイクロチューニングは単なるニッチではなく、モノフォニック楽器でも追加次元を提供します。」
4. 結論
このインタビューは、リチャード・D・ジェームズと高橋 達也が技術的厳密さと創造的探求を融合し、特にマイクロチューニングとユーザーにやさしいインターフェースでシンセサイザ設計の境界を押し広げる姿勢を示しています。彼らの対話は、「少ない方が多い」という信念を共有し、ミュージシャンに自由に実験できる環境を提供する重要性を強調しています。